軍事作戦の背後にある「エネルギーと大国競争」
・ベネズエラ産原油の精製など、米国のエネルギー供給戦略が示された
・ホルムズ海峡の安全は中国などアジア諸国のエネルギー安全保障にも直結している
・中東戦争の背後には、エネルギーと大国競争という構図が存在する
3月9日のホワイトハウスの記者会見で興味深かったのは、トランプ大統領が軍事作戦の成功を語る一方で、原油価格やホルムズ海峡、中国のエネルギー問題に繰り返し言及していた点である。
ホワイトハウス会見で語られた中東戦争とエネルギー戦略
トランプ大統領は原油価格、ホルムズ海峡、中国のエネルギー問題、さらにはベネズエラとの原油関係など、国際政治の広い構図について説明した。
トランプ大統領は、軍事行動によって原油価格が上昇することは事前に理解していたと説明しながらも、「価格の上昇は予想より小さい」と述べた。米国としてはエネルギー価格の安定を重視しており、状況によっては制裁や規制の調整も検討する考えを示した。
ベネズエラと原油 ― トランプが語ったもう一つのエネルギー戦略
トランプ大統領の記者会見で面白いのは規定の話ではなく、その後の記者とのやり取りだ。ベネズエラとのエネルギー関係についても興味深い発言があった。
トランプ大統領は、ベネズエラからの原油がすでに約1億バレル、米国ヒューストンの製油所で精製されていると説明。さらに、追加で同規模の原油が輸送されていると述べ、米国とベネズエラの関係は「パートナーシップのようなものだ」と表現した。
ベネズエラは世界最大級の石油埋蔵量を持つ国として知られているが、長年の政治混乱と経済危機によって石油産業は大きく弱体化してきた。トランプ大統領は、現在のベネズエラ政府との関係が安定していることを強調し、「非常に尊敬されている女性の指導者が国を率いている」という。
日本では大統領拘束直後には大きな報道があったが、その後の報道はない。ベネズエラがその後どうなったか。少なくとも、親米の指導者がいて、石油が米国に入ってきたという変化はここから見て取れる。
政権交代による体制崩壊を避け、既存の統治構造を利用しながら安定を維持するという考え方を示している。

拘束された男女のイメージ図
イラク戦争後の失敗
2003年のイラク戦争後の失敗を教訓にベネズエラ、今後のイランについても彼は考えているようだ。
イラクでは当時、軍、警察、政府機関の多くが解体され、国家機能が一時的に崩壊した。その結果、過激派組織ISISの台頭を招いたという認識を示し、「同じことは繰り返したくない」と会見でトランプ大統領は語った。
つまり今回の発言は、政権を完全に崩壊させるのではなく、既存の体制の中にいる人々を利用して秩序を維持するという考え方を示唆している。
記者会見では「イランの体制をどうするのか」という質問も出たが、トランプ大統領は王政復活を主張する「最後のシャーの息子」などの名前が挙がっていることに触れたが、これは現実的ではないともいった。この発言からは、イランでも急激な体制転換よりも、内部から秩序を維持する形の変化を模索している可能性が読み取れる。
追加説明(1979年のイラン革命で失脚した Mohammad Reza Pahlavi の長男のこと。現在は米国に居住し、イランの民主化運動の象徴的存在)
追加説明 現状ではハメネイ氏の次男のモジタバ・ハメネイ師 が最高指導者に選出された。https://www.jiji.com/jc/article?k=2026031300335&g=flash#goog_rewarded
軍事作戦の背後にあるエネルギー
トランプ大統領が軍事作戦の成功を語る一方で、原油価格やホルムズ海峡、中国のエネルギー問題に繰り返し言及していた。
中東の軍事衝突はこれまで何度も起きてきたが、今回の発言は単なる地域紛争ではなく、より大きな国際政治の構図を示している。
その鍵になるのが、やはり、ホルムズ海峡だ。

Googleマップ
ホルムズ海峡は、ペルシャ湾からインド洋へ出る唯一の海上ルートであり、世界の原油輸送の重要な通路として知られている。サウジアラビア、イラク、クウェート、UAEなどから輸出される原油の多くがこの海峡を通過する。世界のエネルギー市場にとって極めて重要な場所だ。
ただし、トランプ大統領が指摘したように、この海峡の重要性は米国よりもむしろアジア諸国にとって大きい。
特に中国は、原油輸入の大部分を中東に依存しており、その輸送の多くがホルムズ海峡を通る。もしこの海峡が封鎖された場合、中国経済は直接的な影響を受ける。
つまりホルムズ海峡は、アジアのエネルギー安全保障と直結している。
トランプ大統領は「これは中国などの国にとって重要だ」と語った。
海峡の安全確保が米国の利益だけでなく、世界のエネルギー市場全体に関わる問題であることを示している。
「エネルギー」は戦争と国際政治の中心
中国は海上封鎖により台湾を穏便に獲得しようとしている。その実行には大量の艦船と補給船が長期間洋上に展開する必要がある。そこには膨大な燃料が不可欠だ。もしその燃料の供給が十分に確保できなければ、作戦の維持は難しい。
ベネズエラもイランも中国への重要なエネルギー供給源だった。
トランプ大統領はまず、ベネズエラの大統領を拘束した。表向きには違法な麻薬流入への対処だが、ベネズエラ産原油が米国の製油所に運び込まれた。米国は新たにベネズエラ産原油はヒューストンの製油所で精製、さらに巨大な精錬所を建築中だ。ベネズエラは、中国ではなく、米国の新たな原油供給ルートとなった。
イランが今後どのような政治体制へ向かうのかは、まだ見えていない。
ベネズエラ産原油は、米国がエネルギー供給源を多角化した。米国は産油国であり、石油の値段の高騰は米国には痛手にはならない、新たな利益を生み出すだけだ。中東の情勢が不安定になれば、原油価格は上昇しやすい。しかし米国は、南米など他地域の供給を活用することで米国の石油市場は安定する。
ホルムズ海峡封鎖はEU諸国にも痛手にならない。EU諸国は紅海をつかったルート等、別ルートで輸入しているからだ。
このように見ると、今回のホワイトハウス会見は単なる軍事作戦の説明ではなく、軍事力、エネルギー市場、そして大国間競争が交差する現在の国際政治を象徴するものだったと言える。
イランの核問題、ホルムズ海峡の安全、原油価格、中国のエネルギー依存、そしてベネズエラの石油資源。これらはそれぞれ別の問題のように見えるが、実際には同じ国際政治の構造の中でつながっている。
中東の軍事衝突が世界経済や大国関係にどのような影響を与えるのか。今回の会見は、その一端を示す出来事だった。
ホワイトハウスのポストの翻訳内容を追加します。このポストを合わせて読むと、さらにこの戦争の裏側がみえてくるはずです。
トランプは戦争をどう使うのか ― 石油とMAGA(Make America Great Again)ーイラン・ベネズエラ・米中会談について https://www.youtube.com/live/Rv_EUWASBws?si=OxjpH4ULO6jIRcZR @YouTubeより この記事について解説したライブ動画です。


This is what AMERICAN ENERGY DOMINANCE looks like. 💪
アメリカは真のエネルギー覇権(REAL ENERGY DOMINANCE)へと戻りつつある!
本日、私は誇りをもって発表する。
America First Refining社が、テキサス州ブラウンズビルで米国における「50年ぶりの新しい石油精製所」を建設する。
これは3,000億ドル規模の歴史的な取引であり、アメリカ史上最大の案件だ。
アメリカの労働者、エネルギー産業、そして偉大なテキサス南部の人々にとって巨大な勝利である。
この莫大な投資を行ってくれたインドのパートナー企業、そして同国最大の民間エネルギー企業である**リライアンス(Reliance)**に感謝したい。
この投資が実現したのは、
America First(アメリカ第一)政策により、許認可手続きを簡素化し、税負担を引き下げ、アメリカに何十億ドルもの投資を呼び戻したからだ。
ブラウンズビル港に建設されるこの新しい精製所は
・米国市場に燃料を供給し
・国家安全保障を強化し
・アメリカのエネルギー生産を拡大し
・数十億ドル規模の経済効果を生み
・世界で最もクリーンな精製所となる
さらに、世界への輸出を強化し、
長年待ち望まれてきた数千人規模の雇用と地域の成長を生み出す。
これこそが
「アメリカのエネルギー覇権」というものだ。
AMERICA FIRST, ALWAYS!(アメリカ第一、常に!)
YOUTUBE でこれまでの経緯について説明しています。こちらもぜひどうぞ。
米イラン戦争の裏、北京の反応 台湾打撃発言
ホルムズ海峡の裏側 トランプ会見で語られた中国エネルギー問題 https://www.youtube.com/live/nRErp7VEu9Q?si=qW-0fwR-pEvBSeFs @YouTubeより
米イラン戦争の裏、北京の反応 台湾打撃発言 https://www.youtube.com/live/Q3_K0r1CnZ0?si=JCFNUbEPlk8zu8WH @YouTubeより
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