米・イラン交渉は決裂はシナリオ通り。トランプ大統領が推し進める本当の思惑は?
米・イラン交渉は決裂し、ホルムズ海峡の封鎖を示唆
米・イラン交渉は決裂した。
米国はホルムズ海峡の逆封鎖、イランに不当な通行料を払っていた船を通さないといいだした。最後にトランプ大統領のポストを引用しているのでそちらも合わせて読んでいただきたい。これは昨夜のライブ放送で話をした内容の一部なので、ぜひ、そちらも見ていただきたい。
だが、これを単なる外交の失敗として見るのは誤りだ。ここまでの発言と動きを整理すると、トランプ大統領はこの交渉が1回でまとまるとは考えていなかった節がある。米国の中央軍はトマホークミサイルを大量に使い、補充が必要だったことや、いったん、交渉をして平和裏に解決しようと米国が考えているというパフォーマンスも必要だっただろう。
そして、それはどれも上手くいった。
交渉が決裂した状態を利用し、さらにエネルギー・安全保障・同盟関係を再編し、アメリカ優位となる構造を作ろうとしていると見るべきだ。
ホルムズ海峡を巡る一連の発言は、その象徴である。米海軍による封鎖、通行料を払った船舶の拿捕、機雷除去、そして攻撃に対する全面的な報復。これらは単なる軍事的威嚇ではなく、「航行の安全」を誰が提供し、その対価を誰が払うのかというルールの書き換えだ。従来はアメリカがコストを負担し、同盟国がその恩恵を受け、そのコストは大国である米国の負担となる構造だった。しかし今は違う。安全保障はサービスではない、取引であるという前提に変えられている。
ヨーロッパに対してはこうだ。「同盟国だと言うなら、それにふさわしい行動をしろ」。経済的にも協力しないのであれば、もはやアメリカは警察役を引き受けない。アメリカは自分自身を守ることを最優先にする。この場合、アメリカがアメリカのためにやるべきことはイランに核を持たせないことである。それを優先する。
この構造を理解する上で重要なのはエネルギーだ。
ヨーロッパはウクライナとの紛争で、ロシアからのエネルギーに頼らない方針をつくった。
その上に、カーボンニュートラルを主張し、再生可能エネルギーに傾斜した結果、ヨーロッパは電力と燃料の供給に深刻な問題を抱えている。風は常に吹かず、太陽光は夜には機能しない。彼らは理想を大切にするあまり、経済に必要なエネルギー供給を不安定化させた。
結局、経済を動かすために必要なのは石油と天然ガスである。ここでホルムズ海峡の不安定化が重なると、輸送コストとリスクは跳ね上がり、エネルギー供給は一気に政治問題化する。
では、その代替供給はどこか。答えはアメリカなのだ。国連旗は北極を中心にえがかれており、わかりやすい。北極海の氷がとけ、航行ができるようになれば、欧州と米国は意外に近い。ここにグリーンランドという島がもし、米国管理下であればさらにその距離は近づく。
アメリカはエネルギー供給国
LNG、石油、シェールガス。アメリカは自らがエネルギー供給国であることを前提に、関税・外交・安全保障を組み合わせ、他国を依存させる側に回ろうとしている。ここにベネズエラの存在も重なる。資源国としての潜在力を持ちながら制裁と政治で封じられてきたベネズエラは、エネルギー供給の再編の中で再び意味を持ち始める。つまりエネルギーは中東だけでなく、西半球全体で再構成されようとしている。
ベネズエラ大統領拘束までは、中国がこれまでのインフラ投資の返済を石油で支払うこととし、ベネズエラから大量の石油を安価で得ていた。現在のベネズエラの石油は米国に送られている。中国は石油の供給源を失った。ベネズエラの石油は重油で特殊な精製が必要なため、テキサス州等で現在米国は大規模な精製所を作っている。
南米の石油も米国は掌握した。
その結果、中国の石油はひっ迫している。中国の台湾掌握には、大量の船舶による台湾周辺海域封鎖を行うと予想されていた。それには船舶をそこで維持するための燃料が必要だ。ベネズエラ・イランと中国の主要な石油供給源を絶ったことで中国の台湾併合をもくろむ戦略を米国は封じた形となる。
ベネズエラ大統領拘束後にわたしもライブで説明していたが、その効力がじわじわとアジアの安全保障にも及びはじめてきたところだ。
グリーンランド・パナマを結ぶ・トランプ大統領のグレーター・ノースアメリカ構想
この流れの中で出てくるのがグリーンランドであり、パナマ運河である。グリーンランドは北極圏の資源と航路の要衝であり、パナマ運河は太平洋と大西洋を結ぶ物流の核心である。これらを押さえることで、アメリカはエネルギーと物流の両方を支配できる位置に立つ。ここから見えてくるのが「グレーター・ノースアメリカ」という発想だ。グリーンランドからパナマ運河まで、西半球を一体の経済・安全保障圏として固める構想である。
ここで重要なポイントがある。
この構想に欧州が含まれていないという点だ。トランプ大統領は繰り返し「同盟国は助けてくれなかった」と発言している。NATO、日本、韓国、オーストラリアに対する不満は共通しており、「守ってもらう側が負担をしない構造」は終わらせるという意思が明確に示されている。つまり、アメリカは「世界の警察」から撤退し、「自らの半球を守る国家」へと戦略を転換している。
トランプは一貫して「安全保障は無償ではない」「守られる側は対価を払え」という立場であり、それは日本にも向けられた。以下の記事がそれを物語っている。
日本も例外ではない。この文脈で日本を見ると、極めて厳しい現実が浮かび上がる。
日本は原油の約9割を中東に依存し、その大半がホルムズ海峡を通過する。エネルギー安全保障の生命線を自ら守る能力は限定的であり、これまで米軍の存在に依存してきた。しかしトランプ大統領は明確に言っている。「北朝鮮から守るために米軍がいる」という言葉は、日本が受益者であるという位置づけを強調している。
トランプ大統領は、同盟国に応分の対価を求める。それは資金だけではなく、実際の行動でもある。
ここから先に起きることは予測できる。ホルムズ海峡の維持や機雷除去への関与要求、海上自衛隊の役割拡大、エネルギー確保の自助努力、そして在日米軍の意味の再定義だろう。つまり日本は「守られる国」から「役割を持つ国」へと移行を迫られる。これはこれまで米国の同盟だった他の国と同様にかならず米国側から仕掛けられる。すでに外圧として始まっている変化だ。
米国を批判するのではなく、この外圧を利用して憲法改正を!
重要なのは、この状況をどう捉えるかである。アメリカの要求を「横暴」と批判することは簡単だ。しかしそれでは何も変わらない。むしろこれは、日本にとって構造的な制約を外す機会でもある。安全保障の主体性を持てない最大の要因は、憲法上の制約とそれに基づく政策の不作為にある。
現在、衆議院で大勝という政治的条件が整っている。このタイミングで外圧が重なっている意味は大きい。国内だけでは動かせない議論も、外部からの要求が加算されれば、現実的な問題として議論せざるを得なくなる。
エネルギー、防衛、同盟の再定義。これらはすべて憲法と直結する問題である。
米・イラン交渉決裂は偶発的な出来事ではなく、もともと、たった1回の交渉でイランが全ての要求を呑むなんて米国は考えていなかった。
トランプ大統領のMAGAを軸とした再設計の一部としてのパフォーマンスだったのだろうと見るほうが合理的だ。
その帰結として、想像できることは、日本にも安全保障の分担が求められるだろうということだ。米国からの要求を利用し、賢く憲法改正議論まで押し込めれば、高市早苗総理は歴史に語り継がれる総理大臣となることだろう。
これは、日本が自らの国家としての形を再構築する数少ない機会でもある。この好機を逃せば、同じ条件が揃うことはもうないだろう。
トランプ大統領の投稿を翻訳
つまりこういうことだ。会談自体はうまくいき、多くの点で合意に達した。しかし唯一、本当に重要な問題――核については合意できなかった。
即時に、世界最強のアメリカ海軍は、ホルムズ海峡に出入りしようとするすべての船舶の封鎖プロセスを開始する。
いずれは「すべての船が自由に出入りできる」状態に戻すが、イランは「どこかに機雷があるかもしれない」と言うだけで、それを阻んできた。これは世界に対する恐喝だ。特にアメリカは、いかなる脅迫にも屈しない。
また私は海軍に対し、国際水域においてイランに通行料を支払ったすべての船舶を捜索・阻止するよう命じた。不法な通行料を支払った船には、公海上での安全な航行は認められない。
さらに、イランが海峡に設置した機雷の除去も開始する。もしイランが我々や民間船に対して攻撃を行えば、徹底的に反撃する。イラン自身が、この状況を終わらせる方法を最もよく理解しているはずだ。この状況はすでに彼らの国家に甚大な打撃を与えている。
彼らの海軍は壊滅し、空軍も壊滅、空の防空やレーダーも機能していない。ホメイニや多くの「指導者」も死亡している。すべては核への野心の結果だ。
封鎖はまもなく開始される。他国もこの封鎖に関与することになる。イランがこの違法な「恐喝」によって利益を得ることは許されない。彼らは資金を求めているが、それ以上に核を求めている。
そして適切な時点で、我々は完全に準備が整った状態にあり、アメリカ軍はイランに残された戦力を完全に排除するだろう。
ドナルド・J・トランプ大統領
というわけで、会議はうまくいき、ほとんどの点で合意に至りましたが、本当に重要な唯一の点である核問題については合意に至りませんでした。即日発効で、世界最高峰の米国海軍は、ホルムズ海峡に出入りしようとするすべての船舶の封鎖を開始します。いずれは「すべての船舶が出入りできる」という状態に達するでしょうが、イランは「どこかに機雷が仕掛けられているかもしれない」と言うだけで、それを許していません。しかも、その機雷の存在を知っているのはイランだけです。これは世界的な恐喝であり、各国の指導者、特にアメリカ合衆国の指導者は決して恐喝に屈しません。また、イランに通行料を支払った国際水域のすべての船舶を捜索し、阻止するよう海軍に指示しました。違法な通行料を支払った者は、公海を安全に航行することはできません。我々はまた、イランが海峡に敷設した機雷の破壊を開始する。我々や平和な船舶に発砲するイラン人は、地獄に吹き飛ばされるだろう!イランは、自国をすでに荒廃させたこの状況を終わらせる方法を誰よりもよく知っている。海軍は壊滅し、空軍も壊滅し、対空兵器とレーダーは役に立たず、ハメネイ師とほとんどの「指導者」は、核開発の野望のために死亡した。封鎖は間もなく開始される。他の国々もこの封鎖に参加するだろう。イランはこの違法な恐喝行為から利益を得ることは許されない。彼らは金が欲しいが、もっと重要なのは核兵器が欲しいということだ。さらに、適切な時期に、我々は完全に「準備万端」であり、我々の軍隊はイランに残されたわずかなものを終わらせるだろう!ドナルド・J・トランプ大統領
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