発言はさせるが、議論はさせない―れいわ新選組の3/6臨時総会の「アジェンダ・コントロール」
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IBBジャーナルかられいわ新選組 衆議院選直後の3/6の臨時総会の音声完全版が公開された。このThe Letterはぜひ、これを聞きながら読んでいただけると嬉しい。
れいわ新選組の3月臨時総会で発言内容そのもの以上に気になったのが、会議の進め方だ。総会なのだからテーマを絞って、意見を募り、参加議員などが議論し、採決をする場ではない。冒頭に「この会合は総会なのか。総会であるなら、人数確認をしてほしい。」と長く訴えた議員がいた。当然だ。総会であるなら、テーマを絞って議案を示し、参加議員や構成員が議論し、必要に応じて採決する場であるはずだ。しかし、その言葉も「この会合では決議はしない」とやり取りの中で封じられた。
では、このれいわ新選組の臨時総会とはいったい何だったのだろう。ここには、会議運営上の特別な手法が見える。
重要なポイントはここだ。
参加者に一人ずつ意見を深めさせない。
その場で参加者同士の議論をさせない。
この会議は事前に終了時間が決まっており、発言者には短時間で簡潔に一人一問を心がけるという条件が課されている。さらに、時間短縮のため、数人が続けて発言し、それに対して役員側がまとめて答える形式をとる。数人が質問し、役員がまとめて答え、また次の数人が続けて発言し、役員側がまとめて回答する。この繰り返しだ。
一見すると、これは時間短縮のための合理的な進行のように見える。
多くの参加者に発言機会を与えるため、数人分の質問をまとめて受け、まとめて回答する。会議運営としては珍しい形式ではない。
しかし、責任追及や組織改革を求める場でこの形式を使うと、まったく別の効果が生まれる。 一括質問・一括回答型では、役員以外は他の参加者の発言に対して意見を重ねにくい。発言時間は限られ、自分の発言ターンが終われば、次の発言者に移る。
結果として、参加者は発言しているのに、参加者同士の横の連携が生まれない。問題提起はその場で議論に発展せず、役員側の回答によって回収されていく。
運営最強のれいわ新選組の臨時総会
これは、会議運営上のアジェンダ・コントロールである。誰が発言するか。どの順番で話すか。いつ回答するか。どの論点を拾うか。どの論点を大きな説明に吸収するか。これらを進行側が握ることで、会議の主導権は常に役員側に残る。
さらに、この形式には認知的な効果もある。複数の発言が連続すると、聞いている側の頭にはすべての論点が同じ強さでは残らない。最初の発言は薄まり、中間の発言は埋もれ、最後の発言だけが印象に残ることもある。そこに役員側が長く回答すれば、会員側の個別の問いは「皆さんからのご意見」という大きな塊に変換される。
この形式では、役員側は非常に有利である。個別の質問に正面から答えなくてもよい。複数の論点をまとめて、「ご意見として受け止めます」「今後の参考にします」「大きな方向性としては」と処理できる。会員側は発言した満足感を得るかもしれない。しかし、その発言が議案になるわけではない。採決に進むわけでもない。役員会の決定を変更するわけでもない。
つまり、これは「発言はさせるが、議論はさせない」会議運営である。
バッチ処理型Q&Aによるアジェンダ・コントロール
このれいわ新選組の会議手法は、「ガス抜き」として有効だ。造語だが、「バッチ処理型Q&Aによるアジェンダ・コントロール」 と呼ぶのがしっくりくる。
会議運営上は、まず agenda control/アジェンダ・コントロール をしている。
これは、「議題、発言順、回答順、時間配分」を司会側が握ることで、参加者同士の横の議論を起こさせず、進行側が論点を整理・回収する方法だ。
MIT(マサチューセッツ工科大学)の職員向け会議設計ガイドでも、ファシリテーションは会議のプロセスを意識的に導き、参加者を関与させ、合意された目的に向かわせる行為として説明されている。これは本来、建設的な会議運営の技法である。しかし裏返せば、進行権を握る側は、発言順・回答順・時間配分を通じて、会議の方向性を強く管理できるということでもある。
今回のように、3人くらい続けて発言させてから役員がまとめて答える方式は、 「一括質問・一括回答」 という。責任追及の場でこの形式を使うと、発言者ごとの問いが希薄化される。質問A、提案B、批判Cが並んだあと、役員側がまとめて回答するので、個別論点に正面から答えず、「皆さんのご意見として受け止めます」「大きな方向性としては」と回収しやすい。
さらに、連続発言のあとに役員が長く回答すると、質問者同士の相互確認が起きない。これは 「cross-talk suppression/横の議論の抑制 」という会議分析用の文言で表せる。参加者Aが問題提起し、参加者Bが「その点は私も同じです」と重ね、参加者Cが「では議案化しましょう」と発展させないように、連続性を断つ効果があるのだ。
権力者が決めた決定を追認させる会議手法
政治組織や参加型会議の分析では、これは 「pseudo-participation/疑似参加」 や 「tokenism/形式的参加」 に近い形だ。これは、すでに外部または上位機関で決まった決定を追認させるための参加、または、参加の形はあるが権力差があり、参加者の影響力が限定される状態の参加として位置づけられている。
れいわ新選組の臨時総会は一括質問・一括回答という形式を使った、アジェンダ・コントロールだ。参加者に発言権は与えるが、参加者同士の議論は発生させない。複数の発言を連続させることで、個々の論点は薄まり、役員側はまとめて回答できる。結果として、会員の問題提起は議論ではなく、処理される不満になる。
れいわの意思決定機構は山本たろうと大石あきこ周辺のお気に入りの役員だけが決める。それに対して不満を述べる会は開くが、それは意思決定には反映されない。
発言はさせる。しかし、議論はさせない。これがこの会議運営の核心だ。
こちらの動画もぜひご覧くださいね。解説しています。
風通しのよい「れいわ新選組」というウソ
この構造は、れいわ新選組だけの問題ではない。多くの組織で見られる。説明会、住民説明会、政治団体の意見交換会、自治体の審議会、会社の全体会議でも同じような形式が使われることがある。参加者には発言機会が与えられる。しかし、その発言が意思決定に接続される設計にはなっていない。結果として、会議は「民主的に見える」が、実際には決定権を持つ側が主導権を保ち続ける。
「れいわ新選組」のサイトにはこの言葉がある。「一人ひとりのボランティアに支えられた、
まったく新しい “草の根政党”。れいわ新選組は、2019年4月に山本太郎参議院議員(当時)が1人で立ち上げた国政政党です。大企業・労働組合、宗教団体などの組織に頼らず、一人ひとりのボランティアと、ご寄附に支えられた、まったく新しい草の根政党です。」
確かにボランティアとご寄付で支えられた政党なのだろうが、この草の根のボランティアや議員たちは意思決定権をもたない。まさに「山本太郎参議院議員(当時)が一人で立ち上げた国政政党」なので、山本太郎氏とその側近で決める内容を、ボランティアが支える形なのだ。
れいわ新選組の臨時総会とされる会議は、その典型例に見える。声は出せる。だが、決定には届かない。これが、草の根型に見える中央集権組織の会議運営である。
この会議運営の技法を見抜くことは、政治組織を見るうえでとても重要である。なぜなら、民主的に見える組織ほど、形式的な発言機会を用意するからである。だが、発言機会と決定権は同じではない。ここを混同すると、参加者はいつまでも「話は聞いてもらえた」と思いながら、実際には何も変わらない会議に参加し続けることになる。
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参考資料として 他のれいわ新選組総会の音声版もリンクをはっておくのでぜひどうぞ。
れいわ新選組の臨時総会という会合に参加する議員たちの発言内容や役員、大石あきこ代表代行や山本たろう代表の言葉もさることながら、この会議を何回重ねても、なにも執行部で変わらないことは理解できると思う。これがこの手法なのですよ。
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