皇室典範を語りながら飲み食い?日本保守党ー百田・有本氏への違和感
この記事では、動画では話しきれない論点を文章で整理しています。皇室、国会、政治言論のあり方について、今後もThe Letterで継続して取り上げます。無料登録だけでも励みになります。
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「口にチャックをよろしく」発言ー日本保守党の危うさ
Xで流れてきた日本保守党 百田尚樹チャンネル内容に大きな違和感を覚えた。皇室典範改正に関する話題の最中にまず、有本香氏が餃子を一人前パクパク。その後に百田尚樹氏が中華丼をモグモグ。これでいいのだろうか?と思った。

政治家や政治団体が皇室制度について解説し、意見を表明することは問題だとは思わない。女性天皇と女系天皇の違い、皇位継承の安定、旧宮家の男系男子の皇籍復帰、女性皇族が結婚後も皇室に残る案。こうした論点について、賛否を含めて議論や解説をして、多くの人にこの問題について知っていただくことは重要だと思う。
しかし、今回問題だとおもったのは、その中身以前のことだ。
皇室典範改正や皇室制度という極めて重いテーマを語る番組で、出演者が餃子や中華丼を食べながら話していた。さらに、百田尚樹氏はXで、「昨日は『皇室典範の会議』の舞台裏の話を語りました」「聞いた人は口にチャックをよろしく」という趣旨の投稿をしている。
公表資料をもとに解説するのは、もちろん問題はない。しかし、もし非公開の会議内容や、外に出すべきではない内部事情を、支持者向けの番組で語ったということなら、政治倫理上、重大な問題ではないだろうか。
口にチャックしなければならない話をしたという認識が百田氏にあったのだから問題視されても仕方ないはずだ。
ここで気になるポイントは3つだ。
一つ目は、皇室を語る番組として、飲食しながらの進行は適切なのか。
二つ目は、「口にチャックをよろしく」と言わなきゃならない配信なら、守秘義務違反ではないのか?
三つ目は、日本保守党は本当に「保守」を名乗るにふさわしい言論の作法を持っているのだろうか、という点である。
食べること自体が悪いのではない
まず、誤解のないように言っておく。
食事をしながら配信すること自体が悪いとは思わない。雑談配信、食レポ、バラエティ、長時間配信の休憩。そういう場であれば、食事をしながら話していいし、そうしなきゃおかしい。
私もライブ配信をしているので、配信現場でいろいろな事情があることは分かる。長時間話せば喉も渇く。水を飲むこともある。体調維持のために、途中で少し休憩を入れることもあるだろう。
しかし、今回は違う。

小笠原氏は「本当に放送しながら食べてますね。またスマホ見ながらの放送というのもすごいな」と投稿。
扱っていたテーマが、皇室典範改正、皇室制度、皇位継承に関わる話題だ。
皇室制度は、単なる政局話ではない。日本の国柄、歴史、憲法、制度、国民感情が重なる、極めて重いテーマである。特に、保守にとっては大事な話だ。
その話をしている場面で、出演者が餃子をつまみ、中華丼を食べながら話す。
「天皇は」「皇室は」「皇室典範は」と語りながら、同時に食事をする。その様子に、私は強い違和感を持った。少なくとも政治系の解説番組として、緊張感を欠いていると思う。
保守を名乗るのであれば、皇室を語るときの姿勢や場の作り方にも、一定の慎みが必要だと思う。

百田尚樹ch(6/8)
配信開始から数分、有本香さんが餃子をつまみ出し、話しながらついに一人前6個を平らげ、次いで百田さんが中華丼を頬張った。
この回で話していた内容は、皇室典範改正の件だった。
「モグモグムシャムシャ、天皇は〜、皇室は〜」
ふざけないでいただきたい。
問題は飲食だけではない
違和感は、飲食だけではない。
百田尚樹氏は過去にも、女系天皇についてかなり強い表現を使っている。
「女性天皇」と「女系天皇」は違う。この説明自体は必要だ。女性天皇とは、文字通り女性の天皇であり、過去にも推古天皇など、女性天皇はいらっしゃった。一方、女系天皇とは、父方をたどると皇統に属さない天皇という意味であり、男系継承の原則と関わるため、慎重な議論が必要になる。
こういった解説は必要だとおもうし、ぜひ多くの人に論点を知っていただきたいと思う。
しかし、百田氏は女系天皇について、「どこの馬の骨ともわからない男を父親に持つ天皇」という趣旨の表現をした。これは、皇室制度を語る言葉としてふさわしいとは思えない。
女系天皇に反対するなら、男系継承の歴史的意義、皇統の連続性、制度変更による将来の影響、旧宮家の男系男子をめぐる課題、国民理解の必要性。こうした論点を整理して語ればよいのである。
そこに「どこの馬の骨ともわからない」というような言葉を使うと、議論ではなく侮蔑の印象が先に立つ。皇室を守ると言いながら、皇室に関わる制度を乱暴な言葉で語る。ここに大きな矛盾を感じる。
国旗・国会を語る言葉も荒い
さらに百田氏は、国旗損壊罪をめぐる議論でも、自民党の国会議員に対し、「バカの集まりなの?」という趣旨の投稿をしている。国旗損壊罪について、お子様ランチの旗のようなものは対象外なのか。どこからが国旗なのか。故意の損壊とは何か。表現の自由との関係はどうなるのか。こうした議論は必要だ。その中には重要ではない話も含まれているかもしれない。
しかし、国会議員を批判する言葉が、「バカの集まりなの?」という言い方でよいのだろうか。
保守を名乗る政治団体の代表が、皇室を語るときも、国旗を語るときも、国会を批判するときも、言葉が荒い。そこに、私は危うさを感じる。しかも、彼は日本を代表する売れっ子の小説家だったのだ。言葉のプロだろうに。
保守とは、怒鳴ることではない。
保守とは、相手を見下すことでもない。
保守とは、内輪で盛り上がることでもない。
歴史や制度に対する敬意。言葉の重み。場にふさわしい振る舞い。守るべきものに対する慎み。そういうものがなければ、いくら「保守」と名乗っても、それは保守ではなく、単なる攻撃的な政治パフォーマンスになってしまう。
「口にチャックをよろしく」の危うさ
もっとも気になったのが、百田氏の投稿である。

昨日は「皇室典範の会議」の舞台裏の話を語りました😅
聞いた人は口にチャックをよろしく。
皇統について百田先生が付け加えていただいた言葉にとても感謝の気持ちです。
保守党があって本当によかった。
メルマガも楽しみにさせていただきます✨
「昨日は『皇室典範の会議』の舞台裏の話を語りました」
「聞いた人は口にチャックをよろしく」
皇室典範会議は非公開のものもある。守秘義務に抵触している話をしたのかという疑問が生じる。
もちろん、これだけで直ちに守秘義務違反だと断定することはできない。何を話したのか。その内容は公表情報だったのか。単なる一般論だったのか。非公開情報だったのか。会議の参加者から聞いた話なのか。あるいは本人の推測や解説だったのか。そこを確認しなければ、法的な評価はできない。
でも、外から見れば、「非公開の舞台裏を支持者向けに話した」「ただし外には漏らさないでほしい」という風に見える。公表してよい話なら、「口にチャックをよろしく」と言う必要はない。堂々と資料を示して話せばよいし、話題にされても問題ないだろう。
逆に、外に出してはいけない話なら、そもそも番組で話してはいけない。
ここが問題だ。
政治家や政治団体は、「ここだけの話」を売り物にして支持者を惹きつけることがある。しかし、皇室典範や皇位継承に関わる話で、それをやってよいはずがない。
百田尚樹氏は、過去にも情報管理への疑問を感じる出来事があった。
以前、参議院議員宿舎内で動画撮影を行い、管理者から制止されたにもかかわらず、撮影を続け、その映像を公開したことがあった。国会議員が居住する施設の内部導線や構造が分かる映像は、安全管理上、非常に慎重に扱うべきものです。悪意ある人物に悪用される可能性がある以上、公開してよい情報ではありません。
その過去があるから心配だ。
皇室制度は、ファン向けの裏話コンテンツではない。
「聞いた人は口にチャック」。こういう言い方で盛り上げる題材ではないと思う。
秘密を持ち出す政治の危険
これは、日本保守党だけの問題ではない。
政治の世界では、ときどき「内情を知っている」「舞台裏を知っている」「自分たちだけが本当の情報を持っている」という見せ方が使われる。
支持者は、それを聞くと特別感を持つ。
「自分たちは本当のことを知っている」
「一般の人は知らない」
「メディアは報じない」
「この番組を聞いた人だけが分かる」
こういう構造である。
しかし、これは非常に危険だ。特に皇室制度のようなテーマでは、慎重さが必要だ。皇位継承、皇族数の確保、女性皇族の身分、旧宮家の男系男子の養子案。どれも国民全体に関わる話である。
だからこそ、公開できる資料は公開し、議論の根拠を示し、誤解を招かないように言葉を選ぶ必要がある。皇室制度はバラエティ番組の内輪のノリにしてはならないはずだ。
日本保守党は何を守るのか
ここで問いたいのは、日本保守党は何を守るのか、ということだ。
日本保守党のスローガンは「日本を豊かに、強く」。選挙などのキャッチフレーズとして「守ろう!日本を。」もある。
しかし、守ると言いながら、皇室典範を語る番組で飲食する。女系天皇をめぐって乱暴な表現を使う。国会議員を「バカの集まり」と罵る。非公開の可能性がある話を「舞台裏」として語り、「口にチャック」と言う。
これで本当に、守るべきものへの敬意があると言えるのだろうか。保守とは、単に「自分は保守です」と名乗ることではない。
言葉の選び方。場の作り方。制度への敬意。他者への礼節。公開すべきことと、口外してはいけないことの区別。こうしたものがあって初めて、保守という言葉に重みが出る。
今回の件を見て、私は日本保守党にはその作法が足りないのではないかと感じた。
批判すべきは思想ではなく作法である
最後に確認しておきたい。
これは、皇室典範改正についての賛否そのものを批判しているのではない。
女系天皇に反対する人もいる。女性天皇を認めるべきだという人もいる。旧宮家の男系男子を養子にする案を支持する人もいる。女性皇族が結婚後も皇室に残る案を支持する人もいる。それぞれに論点がある。
この議論は、丁寧に扱う必要がある。
皇室を語るときの態度、非公開情報の扱い、政治系番組としての品位、そして保守を名乗る団体としての言葉の責任について考えてしまう。保守を名乗るなら、まず守るべきものへの敬意を、言葉と振る舞いで示すべきではないか。
皇室典範を語りながら飲み食いをする。
「舞台裏」を語ったとしながら、「口にチャックをよろしく」と呼びかける。
その姿勢に、私は強い危うさを感じている。
上記ライブも合わせてごらんください。
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