立花孝志氏の変遷(前編)―NHK改革から、選挙と資金集め、そして他者への攻撃へ
出発点は「NHKから国民を守る」という訴えでした。しかし、その看板と、実際に行ってきたことは一致しているのでしょうか。経歴、議員としての活動、お金の集め方、そして対立する相手への発信を順番に見ていきます。
「内部告発して退職した元NHK職員」という経歴
立花氏は、自分を「NHKの不正を内部告発して退職した人物」として紹介してきました。
内部告発をしたこと自体は事実です。ただ、それだけでは経緯の全体像は分かりません。
立花氏自身が公開している経歴にも、2005年7月、オリンピックに関する裏金づくりを理由に懲戒処分を受け、その後、依願退職したと記されています。
さらに、本人が公開している週刊文春の記事は、自分自身が関与した不正経理について告白する内容です。
つまり、「不正を見つけて外部に知らせた人」という説明に加え、「本人も不正経理に関わっていた」という事実を見る必要があります。
内部告発を評価することと、その人物の説明を無条件で信用することは別です。政治家としての信用を考えるなら、本人に都合のよい部分だけでなく、処分や退職に至る経緯まで確認しなければなりません。

以下が情報開示請求の記事
当選しても、任期を全うしなかった
2013年、立花氏は政治団体「NHKから国民を守る党」を設立します。
2015年には船橋市議会議員に当選。しかし、2016年の東京都知事選への立候補に向けて、任期途中で辞職しました。
2017年には葛飾区議会議員に当選します。しかし、こちらも任期を終えず、2019年の堺市長選への立候補に伴って失職します。
そして2019年7月、参議院議員に当選。「NHKをぶっ壊す」という言葉とともに、国政への足場を得ました。
ところが、その約3か月後には参議院埼玉選挙区の補欠選挙に立候補し、比例代表で得た議席を失いました。補欠選挙では落選しています。
市議、区議、参議院議員。当選した三つの議席で、いずれも任期を全うしていません。
他の選挙に挑戦すること自体を否定する話ではありません。ただ、当選によって託された仕事をどう果たしたのか。どれも任期すら全うしなかったことは事実です。
議員として政策を実現することはなく、ただ選挙に出続けるというパフォーマンスではないのかと疑念があります。政策実現には興味はないのかという違和感があります。
NHK受信料を「払わなくていい」を信じた人に残った負担
立花氏の活動を検証するうえで、見過ごせないのが、その説明を信じた人たちへの対応です。
東京新聞は2025年9月10日、立花氏の受信料不払いの呼びかけを信じた利用者に、未払い分の請求が届いている問題を報じました。
記事によれば、党が案内していたのは、弁護士や司法書士が本人に代わって請求書を受け取るサービスです。しかし、請求書の送付先を変えても、受信料の支払い義務がなくなるわけではありません。
利用者には未払い分が積み上がり、党による費用負担を期待していた人にも、支援が行われなかったと報じられています。
一方、立花氏は、国政復帰ができなくなったため方針を変更したと説明し、支援を続ける意向も示したといいます。
しかし、利用者が信じた約束と、その後の対応に隔たりがあったことは重い問題です。政治活動の方針を変更しても、その説明を信じて行動した人の支払い義務まで消えるわけではありません。
NHKの制度を変えるという政治目標と、現行制度の下で個人が負う支払い義務。その違いを十分に説明したのか。そして、費用を負担するとした約束をどう果たすのか。
「NHKから国民を守る」という看板は、実際に利用者を守ったのか。そこが問われています。
「裁判費用は党が負担する」――約束を信じた人に残された請求
立花氏は、受信料不払いを呼びかけた後、裁判費用は党が負担するといった。「NHKから国民を守る」という看板を信じて行動した人は、実際に守られたのだろうか。
東京新聞は2025年9月10日、立花氏の「受信料は払わなくてよい」という説明を信じて不払いに踏み切った人たちに、未払い分の督促が届いていると報じた。立花氏は、裁判になる可能性は低く、裁判になっても党が費用を負担すると説明していたという。
この約束は、不払いによるリスクを党が引き受けてくれると利用者に信じさせる、重要な説明だった。単にNHKへの抗議に賛同しただけでなく、万一の場合にも支えてもらえるという安心を前提に、行動した人がいたのである。
党が案内していた「請求書代理受領サービス」は、弁護士や司法書士が利用者に代わってNHKの請求書を受け取る仕組みだった。しかし、請求書の送付先を変えても、本人の支払い義務は消えない。受信料を払わなければ、未払い分は積み重なる。
同紙によれば、その後、NHKは代理人への送付を打ち切り、本人への直接請求に切り替えた。司法書士から辞任通知が届いた例もあり、利用者は数年分の未払いをまとめて請求される事態に直面した。
そこで、「党による費用負担の約束」はどうなったか?。
東京新聞によれば、立花氏は資金不足を公言し、約束を信じていた利用者への支援は行われなかったという。さらに、滞納者の費用に充てるため、新たに寄付を募ったと報じている。
受信料を払わなくても、裁判になれば党が支えてくれる。その説明を信じた人に残されたのは、積み重なった未払い分の請求だった。約束した支援が受けられなければ、裏切られたと感じても無理はない。
その一方で、立花氏は、対応するための財源を再び支援者の寄付に求めた。「NHKから国民を守る」という看板は、その言葉を信じて行動した人を守れたのだろうか。
では、党のお金は、それまでにどのように集められ、使われてきたのか。中編では時間をさかのぼり、高い利息を約束した資金集めと、巨額の債務を抱えるに至った経緯をたどる。ぜひ、お付き合いください。
中編は、無料の読者登録でお読みいただけます。この機会に、ぜひ読者登録をお願いします。前・中・後編に分けてポストします。
すでに登録済みの方は こちら

