れいわ新選組/やはた愛氏の「戦争は色を失う」投稿炎上――ポテチ白黒化とナフサ不足を深掘り
本記事をきっかけに、ぜひ読者登録をお願いします。継続的な取材・発信を支えてくださる方は、サポートメンバー登録もご検討いただければ幸いです。
れいわ/やはた愛氏のポテチ白黒化の政治的読み替えと炎上
ポテトチップスの袋が白黒になる。そんなニュースが、思わぬ形で政治的な炎上につながった。きっかけは、カルビーが一部商品のパッケージを、従来のカラー印刷から白黒を基調とした2色印刷に変更すると発表したことだ。

news.livedoor.com/article/detail…
カルビーは、正式に14商品のパッケージを2色に変更すると発表した。
◆2色対応の対象商品は以下の通り。
ポテトチップス うすしお味
ポテトチップス コンソメパンチ
2026年5月25日の週から順次、パッケージに使用する印刷インクの色数を2色に変更すると説明している。
この変更はパッケージが作れなくなるリスクを見越して、企業が商品供給を止めないために行った、実務上の予防的仕様変更だ。カルビー公式サイトでも明記されている。
ここに「反戦」というような政治的な意図は一切ない。
やはた愛氏は「反戦の意図」を読み込んだ
このカルビーのパッケージ変更ニュースに反応したのが、れいわ新選組の前衆議院議員、やはた愛氏だった。報道によれば、やはた氏はXで、カルビーの白黒パッケージについて、「“戦争は色を失う”ということを直接的に伝えようとする意図もあるのではないでしょうか」という趣旨の投稿をした。
さらに、カルビーが広島発祥の企業であること、創業者が原爆投下後の広島や戦中戦後の食糧難の中で菓子作りを始めたことにも触れたという。投稿は大きく拡散され、共感する声と批判する声が分かれた。
創業者はすでにカルビーの経営陣にはいない。カルビーには政治的意図はないのに、なぜそんな話を作るのかという声もあった。

やはた愛・れいわ新選組 前衆議院議員の投稿より
この投稿に共感した人たちは、カルビーの白黒パッケージを「戦争の影響が日常生活から色を奪っていく」という象徴として受け止めた。広島の企業であることや、戦後の食糧難から始まった企業の歴史と重ねて、「感性のある受け止め方だ」と評価する声もあった。
しかし、問題は、企業側が公式に示していない「意図」を政治家が読み込み、それをSNSで拡散した点にある。
カルビーが発表している理由は、中東情勢の緊迫化に伴う一部原材料の調達不安定化であり、商品の安定供給を最優先するための対応である。白黒パッケージは、反戦メッセージではなく、インクや包装資材に関わるサプライチェーン上の実務対応だ。勝手に話を作ってはいけない。
政治家の投稿として何が問題だったのか
一般の消費者が「白黒になった袋を見て、戦争の影を感じた」と感想をポストするのは、表現の自由の範囲内だろう。
しかし、政治家や元政治家が、企業の公式説明を超えて「企業がそういう意図で伝えようとしているのでは」と発信すると、企業は余計な政治的意味を背負わされる。これは大きな問題だ。
カルビーの白黒パッケージは、企業の反戦メッセージではなく、商品供給を止めないための企業努力だ。カラー印刷には複数のインクが使われる。色数を減らせば、インクや溶剤の使用量、調達リスク、印刷工程の負担を減らせる可能性がある。
企業としては、商品を棚から消すよりも、パッケージを簡素化してでも供給を続ける道を選んだということだ。 ここを見誤ると、企業が政治的な演出をしたかのように受け止めてしまう人もいるのだろう。だが、これは企業にとっても迷惑であり、消費者にとっても問題の本質を見えにくくする。
企業の実務判断が、勝手に政治的物語にされてしまう。
やはた氏の投稿は理解されやすく、共感も得た。白黒、戦争、広島、食糧難、色を失う生活。これらを一つの物語としてつなげれば、多くの人の心に届く。 しかし、政治家と名乗るのなら、その物語の手前で立ち止まる必要がある。
原油、ナフサ、トルエン、印刷インク、包装材という供給網を通じて現れた一時的なデザイン変更に、企業が示していない物語をつけることが政治家の仕事ではない。そこに表出した供給網の問題を考え、どう解決するかを示すことこそ、政治家の仕事ではないか。
パッケージ白黒化には複雑な供給網の問題がある
ナフサとは、原油を精製して得られる石油製品の一つだ。石油化学産業では、ナフサを分解して、エチレン、プロピレン、トルエン、キシレンなどの基礎化学品を作る。ポテトチップスパッケージで多くの人にも注目されている機会なので、この供給網についても知っていただきたい。
そこからプラスチック、合成樹脂、塗料、シンナー、インク、包装フィルム、接着剤、電子部品、医療用品など、非常に多くの製品が作られる。つまり、ナフサは私たちの身の回りの工業製品、食品包装、建材、塗料、医療品にまでつながっている。
経産省資料でも、ナフサからエチレン、プロピレン、トルエンなどを経て、プラスチック、ゴム、電子部品、塗料などにつながるサプライチェーンが示されている。
カルビーの白黒パッケージも、この流れの中にある。ポテトチップスのじゃがいもが不足しているわけではない。問題は、袋に印刷するためのインクや溶剤、その背景にあるナフサ由来化学品の調達不安である。袋が足りなくなる前に、カルビーは印刷インクの色数を減らすことで、資材の使用量や調達リスクを抑え、商品供給の安定化を図った。
話はこれだけだ。
やはた愛氏が読み込んだような反戦メッセージは、少なくともカルビーの公式発表からは確認できない。ポテトチップスは政治的目的で作られているわけではない。企業の実務対応を、政治的な物語に利用されては困るだろう。
原油が入ってもナフサ由来物質は詰まる
ここでよくある誤解が、「原油が日本にいつも通りに入れば大丈夫だろう」という見方だ。現実はそれほど単純ではない。カルビーパッケージは多くの人にインパクトがある。この機会にナフサ問題について整理しよう。
原油が入ってきても、それを精製し、ナフサを取り出し、さらに石油化学製品に変え、そこからインクや溶剤、包装材として必要な企業に届ける必要がある。どこかで供給が詰まれば、最終製品に影響が出る。
経済産業省も、原油や石油製品について日本全体として必要量は確保できているとしながら、一部で「供給の偏り」や「流通の目詰まり」が生じていると説明している。
赤澤経済産業大臣は、シンナーのサプライチェーンを例に、全体量は足りていても、供給見通しへの不安から出荷抑制や流通停滞が起き、現場で不足感が生じる構造を説明している。
今回のナフサ問題で重要なのは、「完全に物がない」というより、「必要なところに必要な形で届きにくくなっている」という点である。これが目詰まりである。
川上では供給がある。しかし、川中のメーカーや卸、小売が先行き不安を感じると、出荷を抑えたり、在庫を抱えたりする。すると、川下の塗装業者、食品メーカー、製品メーカー、工務店、自動車整備業者などに必要な資材が届きにくくなる。
赤澤経産大臣は、シンナーの供給不安について、川上側の石油化学企業ではシンナー原料となるトルエンやキシレンの国内向け供給が前年実績並みに継続されている一方、供給見通しへの不安から川中で出荷抑制が起きた事例を説明している。
つまり、供給量そのものだけでなく、情報共有や流通経路の停滞が現場の不足感を生むのである。
問題は「日本に原油がない」だけではない。「ナフサがない」だけでもない。原油、ナフサ、基礎化学品、溶剤、インク、包装材、食品メーカーという連鎖の中で、どこかに不安や停滞が起きると、ポテトチップスの袋にまで影響するのである。
色素が潤沢にあっても、印刷や塗装に必要な溶剤が足りなければ、パッケージは作れない。そういうことだ。
戦争や紛争の影響は、爆弾やミサイルだけではない。遠くの海峡が不安定になると、食品の袋の色が変わる。塗装現場でシンナーが手に入りにくくなる。医療や製造業に必要な資材が滞る。私たちの生活は、思っている以上に世界の供給網に依存している。
経産省資料では、2024年の日本のナフサ調達元は、国産ナフサ39.4%、中東からの輸入44.6%、その他輸入16.0%である。つまり、日本国内でもナフサは製造しているが、全量を国内で賄える構造ではない。国産は約4割、残り約6割は輸入に依存している。だから、原油の確保だけでなく、ナフサやナフサ由来化学品が必要な産業に届くかどうかが問題になる。
政治家がカルビーのパッケージから見るべき課題
今回の問題で本当に見るべきものは、「カルビーは反戦メッセージを出したのか」ではない。「なぜ食品メーカーがパッケージの色数を減らさなければならなかったのか」である。
そこには、原油とナフサの問題がある。ナフサ由来のトルエンやキシレンの問題がある。インクや溶剤の問題がある。包装材の問題がある。そして、それらが食品流通にまでつながるサプライチェーンの問題がある。
ポテトチップスの袋一枚にも、世界情勢はつながっている。ただし、そのつながりは、情緒的な比喩だけでは説明できない。必要なのは、感性ではなく、構造を見る力である。 食品の袋が白黒になったとき、その背景に広島や反戦の物語を創作して広めることが政治ではない。
まず見るべきは、ナフサ、トルエン、印刷インク、包装材という現実の供給網である。困っている国民を救うための実務を考えるのが政治だ。やはた愛氏が企業に与えた政治的イメージをどう整理するのか。その部分も注目されている。
本記事をきっかけに、ぜひ読者登録をお願いします。継続的な取材・発信を支えてくださる方は、サポートメンバー登録もご検討いただければ幸いです。
れいわ新選組のやはた愛氏の🔥「戦争は色を失う」投稿炎上――ポテチ白黒化と🚢ナフサ不足を深掘り
今回の記事内容は、YouTubeライブでも詳しく解説しています。ナフサ不足、ポテチ白黒化、やはた愛氏の投稿炎上について、動画でも確認したい方はこちらをご覧ください。チャンネル登録・評価もぜひお願いします。
すでに登録済みの方は こちら
